うたをよむなり。

ねずみです。あちこちで詠んでる詩歌のたぐいをまとめようとおもいました。

題詠みたんか6(~'20.8.13)

放牧とうそぶいているただいまはもう聞けないのちゃんと知ってて
2020年08月13日『放』

友だちを追い越し伸びる白雲は折れてようやく仲間になれる
2020年08月12日『入道雲

ゆっくりと肌を這う手の熱量であばかれていく知らないわたし
2020年08月11日『?』

持たされた水筒だけは守れたねカナと呼ばれてヒグラシの声
2020年08月07日『暮』

柵を跳ぶ羊を呼んでお茶会を開くひっそり貘が来るまで
2020年08月06日『眠れない夜の対処法』

一晩の娯楽のはずが誤算からずるずる続く濃厚カレー
2020年08月05日『誤』

愛されて育つトマトは背も高く子作りはまだする気になれず
2020年08月04日『トマト』

ブラウスのベールをかぶりひそやかに息する鎖骨の影をみている
2020年08月03日『骨』

手遊びでパンツパンツと笑ってた君はいつから褌なのか
2020年08月02日『パンツ』

紫陽花を一輪つんで笹舟は子どもの熱い手をはなれ行く
2020年07月30日『笹』

ほんのりと甘い麦茶はカロリーと家族のための愛情だった
2020年07月29日『麦茶』

黒髪のロング清楚なワンピース売りたい層に合わせて飾る
2020年07月28日『スイーツ』

指先の白さだったり校庭を見下ろしている横顔だったり
2020年07月27日『たり』

数独はこんなに得意にんげんをやっていくのは上手くないけど
2020年07月22日『独』

ワレワレハウチュウジンダゾ学校に行かなくていい ねえ扇風機
2020年07月21日『プロペラ』

ゆっくりと大人になれよアサガオの蕾に声をかけている孫
2020年07月20日『大』

杯をひっくり返して何千回水面におよぐ生命をみる
2020年07月17日『2300杯目に起こった奇跡』

青空が落ちてきた日を思い出すぬるいベッドと窓のない部屋
2020年07月16日『青』

ひとつふたつ解散してく子どもらの群れを見送る夕映えの園
2020年07月15日『映』

ただしさもやらねばならぬも脱ぎ捨てて枝に作ったいかだで眠る
2020年07月14日『ジャングル』

ふたつずつタピオカを吸う放課後の3人 いつものふたりとひとり
2020年07月13日『タピオカ』

型にはまる生き方だってまた自由三十一字も銀の指輪も
2020年07月10日『自由詠』

右左もう一度みぎ指示を出す自称ただしいかみさまとやら
2020年07月09日『左』

さいごまで気づかなかった君の淹れるコーヒーだから好きだったこと
2020年07月08日『好』

初めてのおかずも余らなかったのにレシピも覚え書きもふたりぶん
2020年07月07日『余』

ぱちぱちと喉をくすぐり隠しごとはきだしちゃえと唆される
2020年07月06日『炭酸』

耳のおく夢をみている巻き貝がざざん、ざざざん、窓ごしの雨
2020年07月03日『波』

ゆっくりと紅茶を淹れるたっぷりのほうが美味しいから2人ぶん
2020年07月02日『ティー

新宿も渋谷も忘れている夏だ膝丈ほどのひまわりが咲く
2020年07月01日『夏』

折半をさせられてきたお年玉お菓子洋服人形あの子
2020年06月30日『折』

火曜日の午後4時サッカー部のない日約束してるわけじゃないけど
2020年06月29日『ベンチ』

柵を越えた一万匹目の仔羊がカーテン越しの朝日にとける
2020年06月28日『不眠症

じゅっぷんを数えて眠る夕立ちも子どもの声も遠くに置いて
2020年06月27日『分』

数行を万年筆で書き足して今日もLINEの通知はこない
2020年06月26日『筆』

流水に晒されているそうめんは締まり心も冷ややかになる
2020年06月25日『流』

秒針を飲み込むように生きているあと100周で3時20分
2020年06月23日『秒』

先輩とチーフと妻と母親の仮面を外し素顔の仮面
2020年06月22日『面』

同胞はまたひとり去りゆっくりとくたびれてゆく私のように
2020年06月19日『バナナ』

ナナホシを背負って生きる七十で足りぬ命を糧としながら
2020年06月18日『てんとう虫』

日も落ちて夕焼け色のフレームをかけた横顔ぬすみ見て夜
2020年06月17日『夕』

前髪を掴んで引いたまさかその、抜けるとは思わなkごめん
2020年06月16日『チャンス』

不可能なゴールへ進む不誠実となじられる理不尽な未来へ
2020年06月15日『不』

虎の子の10万円は父の手に渡り箪笥の肥やしとなった
2020年06月12日『箪笥』

借りもののピンクで飾り大群の威を借りやっとふえる鳥たち
2020年06月11日『フラミンゴ』

縛られてフロウとライム地下街の舞台の上で自由を歌う
2020年06月09日『FREE』

あなたばかね紅に香水つけたまま優しい夫の振りしてるのね
2020年06月08日『演歌の歌詞みたいな短歌』

言いさしをそのままにして戸を閉める夜にはこじれていると知ってて
2020年06月04日『言』

かみさまもかなしいのかな赤い目の娘がぽつり 麦茶をすする
2020年06月03日『水無月

遅咲きのツツジの蜜を吸う虫よお前もひとりで生きていくのか
2020年05月25日『蚊』

一昨日と同じ昨日と同じ今日 明日も同じと信じられること
2020年05月15日『ラッキー』

ばさばさとビニールがなく5年ものの思い出なんか食わせてごめん
2020年05月11日『擬音』

Zoom越しの「ばあちゃん」を聞く前に見たときはふにゃふにゃだった赤子の
2020年05月09日『育』

出立は明日の8時だもう着ないセーラー服にカバーを掛ける
2020年03月23日『出』

大空は天井もない壁もない穏やかに死ぬ自由もないが
2020年03月22日『空』

四月から東京へ行く ヒマ?なんて君を呼び出せるのも今だけ
2020年03月20日『今』

息子らが家を出てからご無沙汰の天ぷら蕎麦を今年は5杯
2019年12月31日『蕎麦』

おやすみと通話を切ったそういえばまた明日ねと言われなかった
2019年12月29日『死』

まん丸のチーズを齧るほんとはさトマトと一緒になりたかったね
2019年12月28日『円』

お湯張りをします ご飯が炊けました 機械の声をなぞってひとり
2019年12月20日『寂』

どうせまた読まないでしょう冷え切った作り笑顔と皮肉の空気
2019年12月13日『伏せ字』

一歩ずつ足を進める僕たちを回し車がからから笑う
2019年12月12日『進』

蒸し焼きになるまで籠るのぼせてもどうせあなたの声は冷たい
2019年12月11日『サウナ』

大空が自由に見えるしあわせを知らないねえとツバメが笑う
2019年12月10日『自由詠』

ありがとう元気になった にこやかに礼を言います使い切ります
2019年12月09日『元気』

鍵付きの日記を開く書き込んだペンは気持ちと一緒に捨てる
2019年12月04日『ペン』

うそつきの赤いほっぺた見上げてる折りたたみ傘カバンの底で
2019年11月29日『中』

白線を落ちたら地獄おさなごの遊びみたいな恋をしている
2019年11月26日『落』

ゴキゲンでにこにこしてて穏やかで無垢で無害で都合の良い子
2019年11月25日『可愛い』

切れもせずたなびく袋細長い金魚のふんは未練がましく
2019年11月24日『糞』

円陣を組んで掛けごえ体重の全くかかっていない右肩
2019年11月20日『繋』

カフェインを捨てさせられたコーヒーを私のためじゃなく選ぶ 飲む
2019年11月16日『コーヒー』

どっちかを選べる権利パパとママどっちも選んじゃだめなんだって
2019年11月14日『権』

きっと僕が一番長い友達でそのこと以外なにもしらない
2019年11月13日『識』

誰よりも笑顔をくれる姿見に映った私 がっこうやだな
2019年11月09日『鏡』

家じゅうの結露を拭いた今日だけは僕と一緒に泣いてくれるか
2019年11月05日『住』

この台も俺に似てくる真っ黒な穴に落ちてくだけの無駄玉
2019年10月29日『パチンコ』

Eテレをひとりで見てる平日に頭を撫でた手のひらがある
2019年10月26日『いる』

アリクイは怖がっている顎を上げ半分下りた瞼の奥で
2019年10月03日『顎』

赤くないルビーのことよ黒髪でちょっとつり目で声が低くて
2019年09月02日『サファイア

コーヒーと蜂蜜むかし教わったレシピじゃ母の味には足りない
2019年08月14日『カレー』

丑の日と囃し立てられドードーの後に続けと追い込まれてる
2019年08月13日『鰻』

叫んでも届かないから明け方のシーツの熱を確かめている
2019年08月03日『叫』

縁側にカルピスひとりセミ捕りに行ったぼうやを待ちわびている
2019年08月01日『汗』

黒みつときな粉をかけるところてんよお前も知らぬ顔をするのか
2019年07月31日『心太』

ゆっくりと綻んでゆく朝顔のはじらう色を確かめている
2019年07月28日『覗』

われわれはうちゅうじんだと笑う声この子もいつか父になるのだ
2019年07月21日『扇風機』

けんちゃんを知っていますか交差点で頭を垂れるヒマワリに訊く
2019年07月12日『待』

長男と三男が押す団子でも挟まれっ子は気苦労がある
2019年07月08日『真ん中』

ゆりかごを夢見て散った人間のはんぶんたちをティッシュでぬぐう
2019年07月02日『育』

クリスマスケーキだったらくさってる歳だ今夜もチューハイを飲む
2019年06月28日『完全数

封をして無いことにする思い出の箱に埋もれて寝る場所もない
2019年06月23日『箱』

ミルキーを鞄に入れる初恋の顔はとっくに思い出せない
2019年06月22日『ずっと』

たんたんと挨拶をする昨晩のケンカは胸の奥にしまって
2019年06月12日『凪』

身動きもとれない電車緊密にひとりとひとりが集まっている
2019年06月05日『寂』

思うほどおいしくなくて弟の皿から取ったイチゴを戻す
2019年06月03日『思』

残り物の頭をかじるカスタードだって愛している人がいる
2019年05月28日『残』

人生を乗り越えなくちゃ点数もわからないまま明日も笑顔
2019年05月27日『テスト』

親子丼に一味をかける思春期の娘 そういうところも同じ
2019年05月25日『丼』

すり鉢で丁寧に擂る胡麻の香に恨みつらみをよく練りこんで
2019年05月21日『丁寧』

改札で分かれて歩く暗闇で思い出す貴方が一番好きだ
2019年05月20日『省』

題詠みたんか5(~'19.5.17)

ひとが皆アリのようだと強がって見ているこども保健室の窓
2019年05月17日『窓』

胸のリボン高校生の思い出を娘のくるみボタンに託す
2019年05月14日『ボタン』

いつか言うつもりだったんだ快晴が白い目で見る喪服の僕を
2019年05月13日『いつか』

七日だけ恋をさせてよ麦わらで編まれた籠で蛍がひかる
2019年05月11日『恋』

タンポポの綿毛を飛ばす花びらで好きを占う季節は過ぎた
2019年05月07日『吹』

着けてるし一度だけだし今日もまた罪を重ねる口実にする
2019年05月06日『コンドーム』

アオハルと読むらしいですイマノコはひとりのんびり訓読みをする
2019年05月05日『青春』

確(しっか)りと小指を握る紅葉の手わたしはきみに生かされている
2019年05月04日『確』

大粒の真珠を着ける少しずつ開いた距離を今日もごまかし
2019年05月03日『遠近法』

完璧な家族を目指す僕達は週に一度は他人に戻る
2019年04月28日『完』

寝る前の30分を繰り越して今使いたい 1分でいい
2019年04月23日『分』

一歩ずつ進むしかない飛車角になれはしないし成れば金だし
2019年04月22日『歩』

冷蔵庫の奥でキャベツの千切りとやせたもやしの恋が始まる
2019年04月19日『箱』

赤い目の娘に四つ葉を探されて困った顔をしてるカタバミ
2019年04月17日『クローバー』

表札のコケを拭き取る明日から使わなくなるSATOHの白さ
2019年04月16日『苔』

花の芽に水をやるよう毎日の笑顔にありったけの好意を
2019年04月15日『苗』

しわくちゃのシャツも光るおでこだって今はすっかり可愛いところ
2019年04月14日『慣』

行き先も知らずに落ちる青空も青い海をも知らぬ雨粒
2019年04月10日『自由詠』

詰まる喉で涙を殺すもう見せる人はいないしハンカチもない
2019年04月09日『涙』

アスファルト割って芽生えるタンポポのような懸想を育てひと月
2019年04月05日『芽』

少年よ大志を抱け銅像は語る勇気が欲しい者にだけ
2019年04月04日『志』

欠けもせず花ごと落ちている桜おまえも椿に憧れたのか
2019年04月03日『首』

春風のせーので開く桜たち置いていかれたつぼみがふたつ
2019年04月02日『号』

春の陽に溶かされていくひと時の夢を抱えていた二文字たち
2019年04月01日『令和』

ザリガニを小枝でつつく勝ち負けを考えもせず振り上げる爪
2019年03月28日『池』

空を飛ぶ鳥というなよこのままじゃ帰る場所さえ探せなくなる
2019年03月25日『自由詠』

昨日まで友だちだったタンポポが他人みたいな顔する四月
2019年03月22日『花』

歳月に傷つく前の僕たちをまっすぐ見られずビールを呷る
2019年03月05日『1800カラットのダイヤと同じ美しさ』

こわごわと握り返した左手を離せば空もモノクロだ また
2019年03月04日『恐』

昨日まで笑ってくれたタンポポも他人のフリをする夜明け前
2019年02月28日『町』

夕焼けを見上げてひとり夢でさえなくした色を思い出せない
2019年02月27日『さえ』

リモコンを押す気軽さで心ごと過去に未来に飛ばされている
2019年02月19日『リモコン』

ひとが皆けもののように生と死と愛だけ知っていればいいのに
2019年02月03日『獣』

人も犬も雪を見るなか梅だけが春を見つけてよろこんでいる
2019年02月01日『如月』

髪も肌も子どものようを目指すのに泣くことは何故だめなのかしら
2019年01月26日『髪』

チョコレート レーズンバター ウイスキーに油が合うと知る人と飲む
2019年01月24日『油』

先生に見えないように昼休みぼくを励ます布のピカチュウ
2019年01月20日『小学校』

今日もただ努めて眠る生きるとは食べて寝ること起きて泣くこと
2019年01月19日『努』

思い出の整理という名の並び替え断捨離にはまだ生々しくて
2019年01月12日『まだ』

大仏の笑みとはつまりこわいって言われてたのか鎌倉で知る
2019年01月09日『大仏』

せりなずな、歌う娘は道端のぺんぺん草に首を傾げる
2019年01月07日『春の七草

段々と積み上げて来た関係のてっぺんに見えたのは断崖
2019年01月06日『段々』

靴ずれがおきないように灰に残る足跡測る知らない老婆
2019年01月04日『シンデレラ』

アパートで峠を越した風邪だとも言えないLINEで繋がる家族
2018年12月31日『越』

黒ければ人に疎まれ白ければ群れに疎まれ泣くはぐれ鳥
2018年12月28日『カラス』

薔薇園に城を構える女郎蜘蛛の腹ばかり見て膨らむ蕾
2018年12月27日『蜘蛛』

明日には捨てられること知っていて花のふりするポインセチア
2018年12月20日『赤』

赤い糸を編み終えるまで考えること許しますあの人のこと
2018年12月18日『毛糸』

指編みのマフラー きっと僕よりも君の手のこと知ってるのだろう
2018年12月02日『マフラー』

牛丼のメニューみたいだアピールをするなら手軽で安いことだけ
2018年11月29日『並』

半月と一緒に聞いた鐘の音明日からまた機械に戻る
2018年11月26日『17時01分』

行き先を知ればからだは竦むから足元だけを見ながら歩く
2018年11月22日『将来』

公園で知らぬ子どもとだいじょうぶ?大丈夫ってやりとりをする
2018年11月21日『大丈夫』

流行らない交換ノートを続けてる私と1週間後の私
2018年11月20日『ノート』

外された第二ボタンもひねくれた1タス1も愛おしかった
2018年11月19日『田』

平凡に生きていたいね一戸建て子供は2人だった世界で
2018年11月18日『凡』

飽きるほど日だまりにいるサボテンは野良のミイ子の恋も知ってる
2018年11月17日『飽』

秋寒を窓の向こうに置きふたり毛布の下で最高気温
2018年11月16日『最』

ゆっくりと布団を叩く太陽の熱が驚き逃げないように
2018年11月15日『叩』

結婚し名前も変えたあの人の面影だけを残す番組
2018年11月13日『忘れられない人』

腰痛にうめくじいじの馬の背でもっとと笑う孫の無邪気さ
2018年11月11日『もっと』

象を呑んだ蛇を見る目は失われいい帽子だと褒める大人ら
2018年11月08日『蛇』

親指のつけ根の線をゆっくりとなぞるあなたは置いていかない
2018年11月07日『占』

ぱちぱちと拍手の音は軽やかに真っ赤に燃える靴履き踊る
2018年11月05日『踊』

誰にでもおんなじ I のはずなのに君へのメールだけ俺になる
2018年11月03日『英文』

ありのままじゃ生きていけずに今日もまた上に貼られる割引き価格
2018年11月02日『価』

さそり座の女を歌う今日もまたいて座ですとは言い出せないで
2018年11月01日『蠍』

言い訳を探して歩く寒いだけ手が冷えるだけ繋いだ右手
2018年10月30日『だけ』

背を撫でて欲しがってるのは僕じゃない冷えきった手に熱を届ける
2018年10月29日『愛撫』

夢 未来 何でもつかめ今はただ乳房をつかむちいさなもみじ
2018年10月28日『可能性』

もう丈も短いけれど捨てられず出してはしまう手編みセーター
2018年10月26日『しまう』

言わなけりゃよかった恋を口にして今朝も「ごめん」を目覚ましにする
2018年10月25日『見た夢を歌にする』

階段で弾む足音勝つときはグリコを選ぶパパのやさしさ
2018年10月22日『じゃんけん』

化粧品の気難しさもまだ知らぬ真っ赤な紅を纏う唇
2018年10月21日『唇』

愛し子の黒髪を梳く蓬莱の枝も燕の貝も隠して
2018年10月20日『枝』

小指だけ真っ赤に塗ったマニキュアと今日も社会をやり過ごします
2018年10月17日『指』

牛乳に浸した苺スプーンで潰したらまた朝に備える
2018年10月16日『潰』

体脂肪率一桁と知っててもでぶと思われてる気がするなあ
2018年10月13日『豚』

幼な子も知っているのよ笑うこと何も知らないふりをすること
2018年10月12日『幼』

自由ほど愛嬌のいるものはないしゃなりと歩く黒い野良猫
2018年10月10日『自由詠』

雨の日に痛み出す喉 二年前言えずに飲んだ言葉の欠片
2018年10月09日『喉』

たっくんとけっこんするの 許嫁なんて知らない子供が笑う
2018年10月08日『許』

吉兆を流した水の温かさ深夜三時のオムツのにおい
2018年10月06日『兆』

一曲のために揃えた薄桃の爪で小さな裸体を叩く
2018年10月04日『曲』

iPhoneで聞いた彼らの歌声で今日も乗り越えます空元気
2018年10月02日『元気』

乗る人もなく揺れているブランコに風の子供があやされている
2018年09月30日『揺』

大風に備えた家の軒下で忘れ去られた風鈴が泣く
2018年09月29日『風』

こんじきの頭を垂れる稲穂らをひとり眺める満員電車
2018年09月28日『米』

豚肉のパックで笑うブサキャラをつついて笑う妻の横顔
2018年09月27日『カワイイ』

ゆるやかに時の流れるリビングでひとりざわめく心臓の音
2018年09月21日『音』

ひとつだけ落としたふりの手袋の代わりに繋いだ手を振り歩く
2018年09月20日『落』

これこそが虚無の味だと嘯いて喉を流れるストロングゼロ
2018年09月18日『味』

私たち紅葉みたいね離れるとみるみる褪せていくところとか
2018年09月16日『紅葉色』

ありふれた日記の中に織り交ぜるひとさじ、甘い小さな嘘を
2018年09月15日『好きな本』

伸ばしかけ下ろした指の冷たさは喉に留めたあのね、の味だ
2018年09月14日『あの』

この中に私の魂以外のものが入っているおどろき
2018年09月13日『この』

どうしてそんなに捻くれてるんだ!と夫の怒声 お互い様かな
2018年09月12日『斜』

つながりは思い出じゃない指輪でも小指でもなく一枚の紙
2018年09月10日『自由詠』

丁寧に敷き詰められた白米とプラパック入りヘタ付きトマト
2018年09月09日『怒』

指先のやわらかさだけ覚えてるかんかんと泣く踏切の音
2018年09月08日『踏切』

題詠みたんか4(~'18.9.7)

お題サイト様で詠んだ短歌たち。

 

選ばれた文字が切り出す色彩に選ばれなかった音は消えゆく
2018年09月07日『擬音』

ガラス戸を開けて知らない空に会うひえびえとした夜のため息
2018年09月06日『肺』

じゅぶじゅぶと焼けた秋刀魚を横に切るとおになったら全部あげるね
2018年09月05日『秋刀魚』

蒼玉と呼ばないでくれ結局は赤になれないものの集まり
2018年09月03日『サファイア

おざなりな手製のくじは天国か地獄かあの子の後ろになあれ
2018年09月02日『籤』

原色を眩しがらない少女らは赤い唇ばかりが目立つ
2018年09月01日『口紅』

滑らかな敬語で話し笑む人の囁く声にのぞく郷愁
2018年08月30日『関西弁』

立秋も終わった頃に顔出したいつもの夏にあいさつをする
2018年08月26日『残暑』

苔玉に霧吹きをするこの子らもガラスの外じゃ生きていけない
2018年08月25日『苔』

何回もイメトレをした告白も台詞が飛んでアドリブになる
2018年08月24日『回』

とうさんはおなすがきらいだったから キュウリの馬が二頭寄り添う
2018年08月23日『馬』

なくなった尻尾に代わりぷりぷりと喜んでいるコーギーの尻
2018年08月22日『尻』

ベランダではためいている黄金の地図が描かれた一反木綿
2018年08月21日『反』

しゃりしゃりと林檎を回す願掛けにしたから赤い皮は切らない
2018年08月20日『包丁』

お飾りのはずの水着の腰布の短さばかり気になっている
2018年08月19日『ミニスカート』

明るければ寝坊をすると聞いた子に抱かれテレビを見てるアサガオ
2018年08月18日『アサガオ

水分をとればタイムが落ちるからなみなみ注ぐ神棚の水
2018年08月16日『紫』

終電もなくて呟くソファの上きょうもたいへんがんばりました
2018年08月15日『優』

話し込む息子の声に多分まだ気づいていない春を嗅ぎ取る
2018年08月12日『多分』

泣いた子の背に浮き上がる骨2枚お前も羽を捨ててきたのか
2018年08月11日『背』

世の中は広く世間は狭いから水槽くらいの自由がほしい
2018年08月10日『自由詠』

カブトがいいカブトがいいと言われつつ今日はスイカをもらっています
2018年08月08日『クワガタ』

火が点いた勢いで泣く二歳児のサンダルにいる一匹のアリ
2018年08月04日『大事』

断捨離をしてなお残るもう着ない初めて買ってもらったスーツ
2018年08月03日『思い出』

今はぼく「子ども」じゃなくて「小人」ね じゃあ弟はどんな人だろ
2018年08月01日『小』

冷房の効いたリビング汗をかくコップと氷の解けた麦茶と
2018年07月30日『濡』

鉄棒を掴んで回る地面から空まで落ちていく夢を見る
2018年07月26日『棒』

譲られた優先席に腰掛けるまさか脂肪ですとは言えずに
2018年07月25日『腹』

放浪と旅行は違う誰よりも自由を知らず飛ぶ渡り鳥
2018年07月23日『渡』

集会に参加するためじいちゃんの池まで泳ぐ都会のカエル
2018年07月22日『田舎』

1日が50時間になったって自由も貯金もきっと増えない
2018年07月21日『24時間』

文字にさえ育たなかった歌たちと真夏の夜を並んで過ごす
2018年07月19日『没』

納豆も味噌もキムチもわたくしも愛してくれる方がおります
2018年07月18日『腐』

クーラーの効いた車で絡み合うふたり温泉玉子になるまで
2018年07月17日『熱』

青らしく見せているだけ本当は空の青さを借りているだけ
2018年07月16日『水色』

ゼロよりは近づいてると言い聞かせかたい言葉で続けるメール
2018年07月13日『メール』

毎日を生きる希望はかたちなく白馬の王子様と似ている
2018年07月12日『何か』

夕焼けをカメラで狙う色彩を殺して空の標本にする
2018年07月10日『自由詠』

正社員こどもは2人一戸建てテレビはいつも僕に厳しい
2018年07月09日『普通』

舌先で転がす言葉苦味だけ真っ直ぐ喉を滑り落ちてく
2018年07月08日『黙』

まだ行くなまだ消え行くなほうき星ゆっくり冷える手をかき抱く
2018年07月07日『星』

今週は晴れのちくもり涙雨チーズケーキをふたつ買おうか
2018年07月06日『天気予報』

キッチンを懐柔してるシンクだけ冷たくひかり私を拒む
2018年07月05日『キッチン』

テニスならもう終わってるいつだって三往復で途切れるLINE
2018年07月04日『ラリー』

前進も右向け右もしないまま息を合わせて波から逃げる
2018年07月03日『蟹』

水というものも知らずにそよ風と戯れているガラスの魚
2018年07月02日『風鈴』

夕暮れに曇る笑顔を思い出す鎖は弱い場所から切れた
2018年06月30日『鎖』

青々と茂る隣の芝を見る ちがいは種か土か心か
2018年06月29日『隣』

鉛筆は尖れば折れる少しだけ丸みを残し息子に渡す
2018年06月27日『尖』

4本の脚で立ってるアメンボもちゃんと虫だし翅だってある
2018年06月26日『アメンボ』

週末はアパートで見る10秒のCMですら僕向けじゃない
2018年06月25日『CM』

ぴかぴかのままにしたくて窮屈になるまで履けなかった長靴
2018年06月20日『長靴』

人参が嫌いで何がいけないの鼻を鳴らして嘯くうさぎ
2018年06月19日『人参』

明日から双子の僕が出社する設定で息する月曜日
2018年06月18日『双子』

掴んでもいずれは消えるだいだいを瞼の裏に焼き付けている
2018年06月16日『線香花火色』

制服を着崩すことが個性だと謳う空気を眺める美人
2018年06月15日『制服』

ことわりはいらない 躊躇も理性まで吹き飛ばすほど想いぶつけて
2018年06月14日『理』

10℃より寒いと息が白いって言われたままに信じてた頃
2018年06月13日『℃』

ぱちゃぱちゃと揺れる水面に映る陽とよく似た黄色い長靴の先
2018年06月12日『水たまり』

真っ白なキャンバスの上立ちすくむ無邪気はとうに枯れてしまった
2018年06月11日『自由詠』

泣くたびに時間薬をくれた祖母いく歳経てど褪せない痛み
2018年06月10日『時』

弁えることを知らずに三千里高嶺の花が絆されるまで
2018年06月08日『分』

雨が降るマイナス5点その代わりあなたに逢えるプラス100点
2018年06月07日『雨』

履く人はもういないのに洗われてタンスの奥で眠るソックス
2018年06月06日『ソックス』

思い出を質に入れれば告白に使う勇気を買えるでしょうか
2018年06月04日『質』

1人でも生きていけますアパートで笑いもせずに流す素麺
2018年06月03日『流』

見納めになるかもねえという祖母が白くなるまで生けた紫陽花
2018年06月02日『紫陽花』

愛情と恨みつらみと味噌を入れじっくりコトコト煮込んだスープ
2018年05月31日『スープ』

しわくちゃのシーツが好きだため息を吐いても怒らないでくれてる
2018年05月30日『シーツ』

ニコニコと手紙を食べる楽しみをお腹に溜めて赤くなる頬
2018年05月29日『ポスト』

葉脈も二股ずつに分かれると桜を見上げ語る口元
2018年05月28日『枝』

バリカタでいたけりゃいなよそのかわり出される客をよく選びなよ
2018年05月27日『ラーメン』

ツチノコとどちらが珍しいでしょう花金という都市伝説は
2018年05月25日『金曜日』

先輩の一皮剥けたを今日も聞くきっと前世はタマネギだろう
2018年05月23日『剥』

寂しさと人恋しさを愛情の重石で圧してたくわんにする
2018年05月22日『漬』

五月雨を集めて鳴らす最上川テンポを上げてロックを叫ぶ
2018年05月21日『曲』

木簡に歌を詠むのと文通とメールの何が違うのだろう
2018年05月20日『パソコン』

どこまでも飛べる翼があったって空は居場所になってくれない
2018年05月19日『空』

女にはなりたくないと言う子らのうつくしく引く眉を眺める
2018年05月18日『女』

すれ違う見知らぬ人の香水が泣きたいほどに懐かしい朝
2018年05月17日『記憶』

霧雨に青を一滴混ぜ込んでかなしみとして小瓶に詰める
2018年05月16日『新しい色名を考えてください』

ぐしゃぐしゃと絡まりきった赤い糸もう解けない切るには惜しい
2018年05月15日『糸』

夕焼けに染まった君の笑顔だけ今もまぶたに焼き付いている
2018年05月14日『J-POPの歌詞みたいな短歌』

紅白を争うことに疲れたと言い訳をして選ぶオレンジ
2018年05月13日『カーネーション

欄干にもたれて眠る真っ白な翼で飛んでいく夢を見て
2018年05月12日『羽』

貧しくて楽しかったと言う人の足元にただ花を供える
2018年05月09日『戦後』

へその緒を切らないでいてひとりでも平気だなんて強がれないし
2018年05月08日『緒』

さみしさと嫉妬をこねて卵液とパン粉をまぶしカラッと揚げる
2018年05月07日『粉』

一日に4時間らしい残業はしてないことになってるらしい
2018年05月06日『一週間に十日来い』

なぜなにを知りたがる子が理不尽を諦める日が来ぬよう祈る
2018年05月05日『故』

蝶は落ち花は散るもの 宝石と呼んでくれない男の背中
2018年05月03日『宝』

公園のベンチに忘れられている炭酸飲料みたいな君だ
2018年05月02日『圧』

勇ましき殿のため鳴くホトトギス青い空だけ夢見て歌う
2018年05月01日『鳴』

仕事なら話すだけなら一度なら帰ってくるなら許してあげる
2018年04月30日『セーフ』

時代だの何だの囃す先輩にもう三十路だと言えずに笑う
2018年04月29日『平成』

ぐるぐると流れる水にぽつねんと弛んだ肌の浮き輪が揺れる
2018年04月28日『浮』

だいじょうぶ、だいじょうぶって言う人に心配すらもさせてもらえず
2018年04月24日『丈』

忙しく流れる文字を漫然と眺めて終わるたまの休日
2018年04月20日『暇』

淡色と言ったのは誰 新緑はこんなに強く輝いている
2018年04月17日『春の色』

真っさらな左手を見て息を吐くキツネも番う春だというのに
2018年04月16日『天気雨』

題詠みたんか3(~'18.4.15)

右側が優先されて歯ぎしりに参加できない左の奥歯
2018年04月15日『噛』

分岐路で選ばなかった後悔が一時停止を繰り返し押す
2018年04月13日『止』

カラフルな魔法少女に憧れて片耳にだけピアスをつける
2018年04月04日『ミラクル』

禁ずれば破ることだけ夢に見る開かずの部屋の金色の鍵
2018年04月03日『誘』

うれしいも寂しかったもごめんねも声にできずにシチューを混ぜる
2018年04月02日『シチュー』

上げた手に左の頬を差し出して撫でてくれると願ってた頃
2018年03月28日『左』

まっすぐな未来は時に暗く見え閉じた扉に憧れる夜
2018年03月27日『閉』

糸玉を千切れぬようにほどいてく 昨日はごめん 私もごめん
2018年03月25日『ほどく』

行先を知らせぬままに家を出る二児の母とは暫しの別れ
2018年03月24日『別』

チリ一つないキッチンは眠りゆく水も通わぬモデルハウスで
2018年03月23日『キッチン』

コーヒーの香りを深くひと呼吸肺に凝った悩みを捨てる
2018年03月22日『喫茶店

体面を捨てられるほど強くなく我欲は消せるほど弱くなく
2018年03月21日『体』

働けど金も娯楽もない暮らし未来の代わりにじっと手を見る
2018年03月20日『五』

何色に咲くかも知らぬみどりごは萼に包まれまどろんでいる
2018年03月19日『蕾』

ぐるぐると絡ませるほど増えていく謎のコードとマイナス思考
2018年03月15日『スパゲッティ』

白砂を涙で固め積み上げるどうせ崩れる夢と知りつつ
2018年03月14日『砂』

どこにでも有ると書かれたマグロさえ今や希少な高嶺の魚
2018年03月13日『魚偏』

家族にも隠し夜ごとに留守にする夢の世界で今夜も生きる
2018年03月12日『留守』

デザートに出した果実は貪られこれ見よがしに結ばれた茎
2018年03月11日『さくらんぼ』

住む人の絶えて久しいかやぶきの屋根で雀の親子が遊ぶ
2018年03月10日『自由詠』

行列の意味も忘れたエクセルの中で溺れた数字をすくう
2018年03月05日『列』

戯れのように疎まれ来る朝だ嫌われものの涙も知らず
2018年02月26日『月曜日』

わがままに伸びた手足が学ランのポケット目掛け飛び込んでいく
2018年02月25日『少年』

今風を意識するのは流行に置いていかれてるという自覚
2018年02月24日『今』

平凡になりたかったとスーパーでB級品の野菜が叫ぶ
2018年02月13日『平』

福を呼ぶ声の数だけ幸があり寒空で泣く鬼の子があり
2018年02月03日『福』

解なしと言われることに怯えつつ今日も掛けます変数ひとつ
2018年02月01日『因数分解

配役は変えられないと諦めて喜劇と暗示をかけて生きてく
2018年01月30日『劇』

どこまでも泳いで行けるほうき星連れを探して家を夢見て
2018年01月27日『流星』

悔しさを湯船に溶かし捨てた日の洗濯槽が驚いている
2018年01月26日『風呂』

ボロボロのくまと一緒に手放した誰も呼ばなくなったみーちゃん
2018年01月24日『教科書の落書き』

「ママ? あのね、雪、うん、帰る」少しずつ左に回る生徒の電話
2018年01月22日『舞』

オゼキだと言えずに今日もオオゼキの振りをしているセールスマンだ
2018年01月21日『関』

「このパンの中はジャムです」名前だけアンパンマンの笑顔が並ぶ
2018年01月19日『ジャムパン』

早朝に凍える草を痛めつけ子らに踏まれて消える命だ
2018年01月18日『霜』

クリスマスライトを脱いでいそいそと春の準備を始める桜
2018年01月17日『飾』

完璧と言われることを諦めて美しくあるミロのヴィーナス
2018年01月16日『黄金比

今日もまた自信を育て損ねては自意識ばかり持て余してる
2018年01月14日『自』

まっさらなガラスの靴は愛玩を許す印と知っていたけど
2018年01月13日『ガラス』

給料と義理と名誉に支払われ私はとうに品切れました
2018年01月12日『公』

びょうびょうと深夜にほえる飆(つむじかぜ)おまえも友を喪ったのか
2018年01月11日『「犬」を含む漢字』

ブレーキをかけてくれるな親友よ言い残し今日凧は飛び立つ
2018年01月10日『自由詠』

マイナスにマイナスを充てトラブルをゼロにしようという愚かしさ
2018年01月09日『マイナス』

温もりや未来を知らずゴミ箱に旅立っていく2億のこども
2018年01月08日『精液』

妻は風呂娘はゲーム猫だけが釣られて口を開いてくれる
2018年01月07日『あくび』

丸四角焼くか煮込むか正月のひと時でさえ和解は遠い
2018年01月06日『餅』

友情も愛も時間も金もなく悩みを溶かすストロングゼロ
2018年01月05日『消去法』

一日を過ごせば増えるペケマーク花丸をする勇気もなくて
2018年01月03日『カレンダー』

からっぽの部屋に響いた晩鐘はかつてと同じ音をしていた
2017年12月31日『鐘』

虚構だと分かってなおも作り込む一夜忘れるための演目
2017年12月30日『虚構』

洗濯と買い物を終え見上ぐ空働くために休む虚しさ
2017年12月28日『休』

来年はこれをしようと決めながら延ばし延ばして来たる年の瀬
2017年12月25日『来年』

忙しなく生きてどうする七面鳥明日の晩には肉になるのに
2017年12月24日『七面鳥

どの娘から貰ったのとも聞けないで青いリンゴの芯をくり抜く
2017年12月23日『ナイフ』

嘘吐きを生きていくにも疲れはて白い枕を抱えて眠る
2017年12月20日『疒』

悪いのはあなたでしょうをカレーごと呑んでスプーンをかちかち鳴らす
2017年12月19日『スプーン』

息をつく暇もないほど与えられ良い薬には程遠い愛
2017年12月18日『甘』

うつくしく研いだしろがね差し込んで二人で分けるブッシュドノエル
2017年12月16日『銀』

自転車は空の果てまで飛んでいく夢を目掛けて俺を忘れて
2017年12月14日『超自由詠』

幸せは見える場所から理不尽を追いやったまま生きられること
2017年12月12日『幸』

コンビニの中華まんさえ冷たくて電子レンジでごまかす深夜
2017年12月11日『中華まん』

休日を持て余し来たコンビニで並ぶ酒すら選べず帰る
2017年12月10日『自由詠』

やさしさの切り売りをして生きている仕入れルートはそろそろ消える
2017年12月09日『売』

愛しても手を繋いでも飲み込んで挨拶をするこっちを向いて
2017年12月07日『ください』

レモン味なんて憧れ思い出す焼肉の味煙草のにおい
2017年12月06日『私のファーストキス』

寂しさが昨日もひとつまたひとつけして消えない痕になってく
2017年12月05日『シミ』

ひとつだけ忘れないでね理不尽に害されていいものはないのよ
2017年12月03日『ルール』

優しさが罪だと知った花はもう枯れているのに手を離せない
2017年12月02日『希望』

せんせい、と仰がれていた人だった ついにひとりの親となる人
2017年12月01日『師』

右向きでさえずる鳥が僕たちを支えてくれる歌詠みの日々
2017年11月30日『右』

失恋も知らぬ二人が指切りで永遠を誓った稚き恋は
2017年11月29日『永遠』

金銀の斧も欲しいが正直を褒めてもらえるしくみがほしい
2017年11月28日『泉』

8時半パジャマで踊る娘には赤いドレスが見えるのだろう
2017年11月27日『ドレス』

遅咲きのコスモスを買うさようなら春も迎えず摘み取った恋
2017年11月26日『葬』

アナログは忘れるべしというように砂時計さえ消えたパソコン
2017年11月25日『最近見なくなったもの』

働けど働けどなお終わらない仕事は進む量も増えてく
2017年11月23日『ブレーキ』

愛情で見ないふりした一滴が積み重なって恋は砕けた
2017年11月22日『壊』

「行きにさあ、」さ行のsを噛み潰し社内旅行の雑談にする
2017年11月19日『さ行』

年末は誰かの身から出た錆を酒の肴にする人がおり
2017年11月18日『錆』

杖を突き転ばぬ先のと言いながら他人の足を引っ掛ける人
2017年11月17日『杖』

初恋の残り香に酔う故郷から結婚しますの知らせ一葉
2017年11月16日『葉』

年5回名前の横に付けられる赤字の数だけ愛をもらえる
2017年11月12日『紙』

器ごとひっくり返せば溢れてく愛を戻せやしないと笑う
2017年11月11日『下弦の月

大寝坊した夢を見た目が覚めて時計を見れば朝の四時半
2017年11月09日『慌』

わからないことをわからぬままにしてまあ頑張ると言える強さは
2017年11月08日『性』

うつくしい言葉ばかりを並べても模様ばかりで絵にはならない
2017年11月07日『無茶題が出てこなくて一首』

水滴の跡が残ったグラスとか濡れたまんまの脱衣所だとか
2017年11月06日『微』

冬を越し一緒の春は来ないこともうお互いに気がついている
2017年11月05日『小春日和』

退屈な運動会の感想を誤魔化したのが僕のはじまり
2017年11月04日『小説』

思うまま自由に書けという教師答えが決まりきった自由を
2017年11月03日『作文』

辛の字にプラス一本する棒の出所だけはみんな言わない
2017年11月02日『プラス』

幾歩かを踏み出すたびに振り返るこの子もいつか嫁に行くのか
2017年11月01日『いちいち』

生贄へ自業自得を建前に貼るレッテルは「何してもいい」
2017年10月31日『お化け』

何もかも落とせるように泡立てる見栄もほこりも嘘も涙も
2017年10月30日『シャンプー』

顔を見る勇気がなくて歓声を聞くだけ 幹に預けた背中
2017年10月28日『幹』

人の目に止まらぬように黒スーツ喪服のひそひそ声は知ってる
2017年10月27日『喪』

どうすればいいのだなんて泣きそうな声で訊くのね信じないのに
2017年10月26日『問』

現実に背を向けてるとわかっててただ「そうだね」がほしい日もある
2017年10月25日『肯定』

ミルフィユのように重ねた信頼をただひと言のフォークで崩す
2017年10月24日『層』

破局へと続く台本引き裂いたこのシナリオは私が決める
2017年10月23日『クライマックス』

題詠みたんか2(~17.10.22)

お題サイト様で詠んだ短歌そのに。

 

好きでした初恋でした幸せの頂点でした 浅はかでした
2017年10月22日『でした』

暗闇にしずか見上げる水面はぽかり、ぽかりとあぶくを落とす
2017年10月18日『深』

ごきげんな目と撫でる手を受けながら外せずにいるよい子の首輪
2017年10月17日『従』

温泉のカピバラみたいに人が寄るいつも笑顔で怒らないから
2017年10月14日『カピバラ

後ろ手で好きに生きろと言いながら不可のハンコをもてあそんでる
2017年10月10日『自由詠』

熱湯をかけるみたいに強がりの皮も綺麗に取り除けたら
2017年10月09日『トマト』

お前にもあるだろ胸から涌く墨を乾かぬうちにぶつけたことが
2017年03月31日『言葉』

アクセルを踏んだブレーキついてない私なのだと知っていたけど
2017年03月25日『ブレーキ』

遠い地の我が子夢見て町中の無花粉杉はすくすく伸びる
2017年03月24日『杉』

治るって慰めだけで泣き言も涙もなかったことにしないで
2017年03月22日『治』

花は色づき香も増すばかり恋うる若木が春を待つ
2017年02月03日『都々逸』

マークミス 時間配分 気の乱れ どれでもいいけど次に生かしな?
2017年01月17日『言い訳』

ぽんぽんとチラシみたいに配られたカイロの裏は「がんばれタクヤ
2017年01月15日『配』

御偉方ぶるなよネット弁慶ら批評家気取れど箔はつかない
2017年01月13日『方』

指先で糸を摘めばほどけてくあなたの好きな色のセーター
2017年01月12日『毛糸』

ドラえもんのポケットみたいと言う息子 あなたの為の備えですから
2017年01月11日『かばん』

檻を咬み早く開けろというくせに出せば戻せというハムスター
2017年01月10日『自由詠』

振袖に合った化粧を知らぬ子に施している二十歳の娘
2017年01月09日『晴れ着』

留学も応援するよパリ行きを叶えた先に夢を持つなら
2017年01月08日『パリ』

わたしのは赤ちゃんなのとつげ櫛をおばあの櫛と並べてみる子
2017年01月07日『櫛』

英雄の御輿に担ぎ行く先を知らぬはあいつばかりなりけり
2016年12月20日『劇』

転卵をされなかったのひとつだけ残った殻にへばりつく雛
2016年08月16日『卵』

右脇で眠る君には言えぬから枕を抱いて夢に備える
2016年08月13日『枕』

艶やかな蝶となり舞う夢を見たままどろどろと融けて暗闇
2016年08月10日『サナギ』

平気だよ へいきだよっていう君の短く縁がギザギザの爪
2016年07月12日『爪』

火の後に残る遺骨がかつて血を育てていたと知った日のこと
2016年06月30日『骨』

虫除けを掛けて囁く首んとこ蚊に刺されてるにこりと彼女
2016年06月13日『蚊』

不束なものですぎゅっとハグをしてやる気スイッチ押してください
2016年06月12日『不』

次々と寝息を立てるビルたちのなかで瞬くひとつの蛍
2016年06月11日『残業』

ウリナリ‼︎を知らない子らを遠く見るひょうきんぞくを知らない私
2016年05月27日『ジェネレーションギャップ』

その人は予約済みです唇を狙って走る泡どもに告ぐ
2016年05月26日『コーラ』

金曜の夜はレトルトカレーの日 ママとさちこは外で食べる日
2016年05月25日『カレー』

地図もなくレールの先へ投げ出され選択権を持て余してる
2016年05月10日『自由詠』

切り花の一本さえ渡していたら良い思い出になってたのかな
2016年05月08日『花』

苦しさを押し付けられてまた今日も血を滲ませた親指の爪
2016年05月07日『癖』

三行に文句をおさめ書き添えた名前に姓は入れずにおいた
2016年05月06日『文』

K.Y.と綴れる音を持っている指まで差してわらわないでよ
2016年05月04日『イニシャル』

疑念から逃れられない青空がぐしゃり潰れて落ちてくること
2016年05月03日『病』

大空を飛びたいという文鳥は籠にいるから空を見るのだ
2016年04月10日『自由詠』

心臓に隠したままの感情を押し付けられてねじれたコード
2016年02月02日『電話』

日曜日頭の下にある腕に耳を澄ませば心臓の音
2016年01月06日『腕』

普通でも快速でもない準快の地下鉄を待つ人生だから
2016年01月05日『準』

無機質にアイを知らない君達は1を使って謳うのだろう
2016年01月04日『コンピューター』

張り 形 大きさ どれも平均で けれど私にぴったりのもの
2016年01月03日『中くらいのもの』

憂いなど知らないような寝顔たち両手で護り育てていこう
2016年01月02日『宝』

今年こそネプリを出そう折り本で 確か去年も言ってたような
2016年01月01日『平成二八年の抱負』

マスオさんも、しずかちゃんでもヘタクソな楽器を弾けって言うの、ねえママ
2015年12月28日『バイオリン』

おとうさんスイッチと呼ぶ空箱を押すと踊った人はもうなく
2015年12月21日『リモコン』

床下に投げ入れた歯が芽を出して雲の上まで僕らを運ぶ
2015年12月18日『歯』

ザ・ボーイと紹介します"a"ではなく私は彼を知っているの"the"
2015年12月15日『THE』

洋服も選び直しのなみだ空あなたに会えるそれで満点
2015年12月10日『デート』

いつもよりヒールは高く7センチ隣の腕にすがる口実
2015年12月02日『ブーツ』

一線を越えられないの今晩も予算はなくておかずもなくて
2015年12月01日『線』

すれ違い重ねよじれた赤い糸結い直す術なくて「さよなら」
2015年11月29日『術』

手作りの曲目ラベルあの頃を閉じ込めているカセットテープ
2015年11月27日『昔』

わからない者が出ぬよう練る話 誰もかれもが眠くなってく
2015年11月21日『全校生徒600名の前で一首』

志望校誰にも言わなかったんだ燃えてなくなれ中学のボク
2015年11月20日『架空の動物』

雨の中ふたりせーので目を閉じてまぶたの裏で見た初日の出
2015年11月18日『出』

グランドに散らばっている点々のひと粒だけを追いかけている
2015年11月17日『放課後』

合わさればなんでもできるオスの刃とメスの刃があるキッチンばさみ
2015年11月14日『はさみ』

ゆりかごのプリンカップでニンジンの細い緑がそよそよ揺れる
2015年11月08日『端』

逢うたびにハチ公かよと笑うならこっちを向いて頭を撫でて
2015年11月01日『犬』

そんなことないよの声と冷えていく35℃の騙せない指
2015年10月28日『℃』

リビングでひとり待ってた氷菓子をホットケーキにたらたら掛ける
2015年10月26日『溶ける』

イヤホンをはんぶんこしたアゲハ蝶はじめて君に借りたMD
2015年10月24日『思い出の一曲』

弟がひとりじめする膝の上そこはわたしの席だったのよ
2015年10月22日『つまらない』

少年は旅立つひとり船を漕ぎ世界史教師の声に揺られて
2015年10月21日『船』

さりさりと囁く声でおやすみをくれたテレビの頭を撫でる
2015年10月20日『テレビ』

好きじゃないかぼちゃを炊いている母と好きじゃないけど食べ尽くす僕
2015年10月19日『かぼちゃ』

けだものとけだものがなくリビングで白いカーテンだけが恥じらう
2015年10月03日『カーテン』

とろとろのホワイトソースが焦げたからカレーが生まれシチューは死んだ
2015年09月01日『シチュー』

モノクロで整えられたリビングに鉢植えひとつリボンもつけて
2015年08月28日『巣』

米つぶを食べ食べ話す雀らが仲間はずれの相談してる
2015年08月22日『雀』

使い方知りたくなんてなかったのママが持ってた魔法の鏡
2015年08月03日『魔法』

黒々とゆれる尻尾をふりまわす親を見つけた犬の子よりも
2015年07月29日『素』

恋人になれない僕の空洞はハグとキスでは埋まらないから
2015年07月12日『M』

舌先で茎を結べばこの恋も結ばれるって信じてた頃
2015年06月19日『さくらんぼ』

微笑んだ眼の向こう垂直に落ちれば先はきっと恋だわ
2015年05月29日『垂直』

山田さん?良い人?まーね、うんそうね(あんたが側にいるときだけね)
2015年05月20日『演』

真っ暗な家に明かりを吹き込んでエプロンもした今からママよ
2015年05月19日『キッチン』

100点を取りますそして先生の大人の笑みを引き剥がします
2015年05月18日『先生』

鞄から君が取り出す酔い止めを受け取って飲む君は酔わない
2015年05月17日『かばん』

夏蝉よ駆けろ命が尽きるまで赤の女王が見つめる前で
2015年05月16日『赤』

ひたひたのミルクの海でせつなげに熟れた苺をフォークでつぶす
2015年05月15日『苺』

母が着てわたくしも着た振袖が明日娘の元を離れる
2015年05月14日『巡』

イグアナは外で私は屋内でのんびり浴びる真夏の日射し
2015年05月13日『爬虫類』

目を閉じて明かりも消してうそをつく触れているのはあなたのゆびだ
2015年05月12日『ひとり』

こどもでも仮面被って踊れますだって無邪気のほうが好きでしょ?
2015年05月11日『仮面』

読み込んだ教科書にさえこの恋にぴったりと合う言葉はなくて
2015年05月09日『教科書』

穏やかな声だけ響く星空で胸をよぎったひとすじの恋
2015年05月08日『彗星』

パンの横白く佇む紙パック今日はさむいしりっくんあげる
2015年05月07日『牛乳』

行く先を知って大阪夏の陣どうか貴方も東軍にいて
2015年05月05日『400年前にタイムスリップして一首』

檻の中穏やかな陽に柔らかな腹を見せつけ王者が眠る
2015年05月04日『ライオン』

天然か人工かなど知らないで今日もダイヤは指輪で光る
2015年05月03日『天然』

夜の奥声も涙も枯れ果てた白い器にあなたを注ぐ
2015年05月02日『器』

笑み交わし絡め合う指混ざる熱ずっといっしょに それはほんとう?
2015年04月30日『鎖』

割引のシール進みの速いレジ戦士マダムの眼鏡がキラリ
2015年04月28日『スーパー』

ありがとも聞いてあのねももういやもルーと一緒にぐるぐる煮込む
2015年04月27日『シチュー』

天井にすみついているシミ猫よ次の人にも可愛がられな
2015年04月24日『引っ越し』

知っていた名字にちゃんを付けて呼ぶ距離がれっきと拒否であること
2015年04月22日『ちゃん』

題詠みたんか(~'15.4.21)

お題サイト様で詠んだ短歌たち。

 

薄あかい豆電球の黄色さが咳き込む喉に染み込んだ九時
2015年04月21日『輝』

ととろおと吠えた獣を指差してぱぱとおんなじおなかしてるね
2015年04月20日ジブリ

身代わりと知ってまぜあう肌の熱役に立てない眼鏡が落ちた
2015年04月18日『眼鏡』

「きれいだね」「ほんと、」囁きひじかけの上でしずかにからむ手のひら
2015年04月17日『プラネタリウム

鳥たちよ歌えるうちに鳴いとくれお鍋のなかで煮られる前に
2015年04月16日『・・・』

お昼から雨だよ傘をもってきな飛行機雲のしっぽが言った
2015年04月15日『天気予報』

S極のようにこっちを向いてくれ中島くんは今日も祈った
2015年04月14日『磁石』

私にはあなたっていうぴかぴかのエースに見合う手札がないの
2015年04月13日『トランプ』

ワゴン車のシーツに抱かれ自らの価値も知らずに眠る幼子
2015年04月12日『盗』

寝たふりをしてる背中をたたいてよ好きになるかもしれないからさ
2015年04月11日『スイッチ』

笑みは剣、ドレスは盾と囁いた蝶は今宵も戦場を舞う
2015年04月10日『踊』

ぐらぐらと息もできないいろは坂きっとふたりは同じ思いだ
2015年04月08日『バス』

型抜きでりんごの芯をくりぬいてこれが命と言ったあの人
2015年04月07日『芯』

おれがまだぼくの頃から知っている真っ赤なリボン目がけ手を振る
2015年04月06日『学校』

かんかんと警鐘の鳴る向こう側 青信号が手招いている
2015年04月05日『信号』

ジバニャンを変なにゃんこと呼びながら母のミシンはかたかたと鳴く
2015年04月02日『新』

恋う人は真昼に浮かぶ月のよう 白い面しか見せてくれない
2015年04月01日『昼』

歌詠みの祭と聞けば腰軽く声軽やかに尻も軽くし
2015年03月30日『都々逸』

手を伸すし蜂蜜色の海の中 揺らぐ光はまだ届かない
2015年03月28日『泳』

気が良くて情に厚くて親切で型抜きされた長所の市場
2015年03月24日『長』

菜の花と千切り大根合わせれば春の限定ぶた肉サラダ
2015年03月18日『菜』

ひととせと泣いた滴を糧にしてしかと擡げよ向日葵の朝
2015年03月09日『咲』

最後まで弱音吐かせぬ酷い人 ひとりで生きてゆけるよなんて
2015年02月24日『強』

あたたかなシャワーの音に濯がれて シャボンの奥に夜を夢見る
2015年02月22日『シャンプー』

春空に迷い子の風は弱すぎて雲のひとつも吹き飛ばせない
2015年02月19日『弱』

カタブツのおとなもきっと欲しかった赤いインクの特大のマル
2015年02月16日『紅』

ムリならね忘れちゃってもいいのでも謝らないでどうかお願い
2015年02月14日『告白』

明るくて無邪気で時に的を射る 期待されてることを知る子ら
2015年02月04日『子』

よく噛めを言われた種をぐいと呑むはやく春こいお腹の中で
2015年02月03日『まめ』

手招かれ呆れた顔でぶかぶかのジャンパーえいとかぶせられる子
2015年01月28日『ジャンパー』

遠足できみのかなしい声を聞く口に残った皮をかみしめ
2015年01月27日『つぶ』

ゆらゆらと光る水面に突き刺して ひとつ漕ぎましょ私のほうへ
2015年01月17日『オール』

首のすじ おへそ こし骨 ひざの裏 いたわるように確かめる人
2015年01月11日『いちいち』

若者が最先端を行く街は"ばんぎゃ"が跋扈してるんだろう
2015年01月09日『渋谷』

実家ではほうれん草が入ってて福神漬けが添えられていた
2015年01月07日『草』

9 9 の中に目玉を書く父と あと一点を見つめる母と
2015年01月05日『誤』

ドレス着てお澄まししてる知らぬ子がサルの子だったことも知ってる
2015年01月03日『姫』

雨粒で冷たい肩を寄せたまま虹が出るまでここにいたいよ
2014年12月20日『木』

半分のいちごにかかる白糖をまるで雪だとはしゃぐ少女よ
2014年12月15日『ケーキ』

ふわふわの黄色の上にケチャップで記号をひとつ描き ラブレター
2014年12月06日『オムライス』

まっしろに輝く明日を踏み潰すいつかだれかの声がきこえる
2014年10月21日『不安』

飛行機がまっすぐ引いた直線で虹まで届く距離を求めよ
2014年10月15日『飛行機』

なまぬるいたばこの味に塞がれて言葉ひとつも口にできない
2014年09月17日『否』

サンタさんお願いぼくにくださいな 勇気をくれる虎皮パンツ
2014年08月02日『パンツ』

前も見ず押して押されてめいめいとどこへゆくかも知らぬ羊ら
2014年07月22日『普通』

ケータイのメールで読めばわからない僕とは違う「すき」の音が好き
2014年04月24日『関西』

雪の日に布団のなかで伸びる猫 横のものすら縦にもしない
2014年04月19日『行』

1の札 重ね続けた場で切るの ワイルドカード次は赤色!
2014年04月18日『賭け』

太陽で虹を映したプリズムが石ころになる手のひらのなか
2014年04月17日『憧れ』

洞穴が空いた私を埋めてやる ぐしゃり掴んだゼリービーン
2014年04月16日『色々』

胎内で眠るぼうやと半分こ あなたの姓を名乗る権利を
2014年04月15日『半分』

イヤホンとウォークマンをチケットに世界の始めとお終いを見る
2014年04月05日『5分』

詠み歌たんか

かつて使っていたところから連れてきた短歌たちです。

 

13.12.16
感情の上澄みだけを汲んでたら汚泥ばかりが残っていった RT @peachsong_521 嫌いだ、と思うそばから少しずつ垂れ流してた濁る感情

13.12.15
不器用に触れたその手はやさしさか春が来るまでゆっくり眠れ RT @hoiru_utayomi 両耳をそっと塞ぐか冬将軍過ぎた後には音も残らず
【18】つま先にうすく塗られたペディキュアでむらさき色は隠されている #aiueo50uta

13.12.12
しんじゃえと思われながら生きているそうでなければいきてゆけない

13.12.11
指先を筆とし描いた絵日記は今日も茶色く変わっていった RT @dodoitsu_ ささくれを剥いてしまってにじむ血の色が赤くてホッとする帰路

13.12.8
慰めの嘘が見えたらこわいから目は合わせないまま指切った RT @hitogatasky 破ってもかまわないから繋いでよどうせ最後の約束だから  #tanka
あの人たちが好きですか - はい あんな自分になれますか - 否

13.12.5
役に立つことはしないと決めました見つけられたら笑われるから
ここでただ息をしてても良いわけをもらう端から棄てられている

13.12.4
離したら戻れないこと知ってたの鏡合わせになれない手と手"@scope_scape: これ以上近づけないの例えれば二重螺旋の上りと下り

13.12.3
十六夜のわずかに欠けた月明かり 白いうさぎは逃げてしまった

13.11.24
名を付けた生き物たちは穏やかにボクを見るんだあわれんだ目で RT @hitogatasky カミサマを気取っていたい目についた命のすべてに名前をつける

13.11.22
お揃いのキーホルダーを蹴り飛ばし それでも他に依る場所もなし"@qwerty_misp: 仲良しと言える僕らの関係は しかし仮面の奥でゆがんで

13.11.20
様々に組まれほどけた核酸は染色体にはもう戻らない RT @hitogatasky 絡まった二重螺旋を引きちぎるDNAであやとりをする

13.11.17
隙も無く均し固めた可愛いを差し出すのなら愛しましょうか

13.11.13
慰める言葉をくれたあの人は理解はきっとしていなかった"@hitogatasky: 自己嫌悪だけが得意な僕でした優しいだけのあの人でした

13.11.12
まっとうな愛し方などしるものか もらったこともないものなのに

13.11.9
また今度。誤魔化し朝に融けていく(言えば君には二度とあえない)"@sugar_100g: (白というより透明に近い、それ) おやすみくらい言って帰って

13.11.5
寂しさを脳に伝えるニューロンはとうの昔に焼き切れました"@qwerty_misp: 寂しいと思わないなら人として異常なのです治療しなさい

13.10.25
夜の隅取り残された「おやすみ」にひとつ書き添えられる「おはよう」"@peachsong_521: 誰もいないタイムラインで「おやすみ」を期待するから今夜も眠れず

13.10.23
ひと口のガナッシュにした情欲よ 君に流れる血と肉となれ "@peachsong_521: 是非も無くただ堕ちていくチョコの海 底で待つのは君か地獄か 『失恋ショコラティエ

13.10.20
僕じゃない腕に刃物を握らせてそっとねだるの罰をちょうだい"@hitogatasky: ばらばらになったふたりを組み立ててこっそり腕は取り替えたまま
ぱさぱさと積み重なったあやまりで僕と君とが切り裂かれてく"@hitogatasky: 許しあう術を知らない僕たちはごめんなさいってただ繰りかえす

13.9.25
左手の指に根を張る糸先はあかい臓器につながっている"@ayameyame: この縁が切れたら頸を切るからね 近くにいてね 離れないでね

13.9.19
眠れない夜をお客に窓を開け夢のかわりに月を飲もうよ"@splanxnizomai: 眠れない夜がどうしたそのために月が闇夜を照らしているの

13.9.11
あのひとが頭を撫でた左手の鈍い光が見張っているの

13.8.30
あの日から君は確かに変わったね 良しか悪しかはしらないけれど

13.8.29
おとされる声の雨から庇われてみっつの骨がやわくふるえる RT @hitogatasky さよならもごめんなさいも跳ね返す鼓膜がふたつまだ捨てきれず
とうめいな水をひろった僕の手よ 化学変化であたたかくなれ RT @qwerty_misp 頬に触れる抗い難い優しさに 溶けた心のみずがこぼれる
僕の目が役立たずでもてのひらで頬に触れれば温度はわかる RT @qwerty_misp 透明の心が目からこぼれても 透明だから君に見えない

13.8.26
剥き出しの肌を伝って混ざる音閉じた世界のアダムとイヴの RT @hitogatasky 消えそうな心音ふたつ絡みあう低くしすぎた人口密度

13.8.12
去る夜を薪にした日で炙られて 夢の残滓がちぢれて消えた"@sosnority: ちりちりと焼ける朝日が差し込んで 部屋には夏が詰め込まれてる

13.8.11
あの頃はからだ全部で跳ねていた今は先だけ躍るお下げは"@rolling_yan: 駆け抜ける電車に髪を遊ばれて初恋の日を思い出してる
「触れないことが寂しくなったらさ」一緒にいれる雲になってよ"@ayameyame: 「あの空に融けてしまえば救われる?」 「君に触れぬ僕以外は、ね」

13.7.26
そうしたら腕から抜いた血液を濾して真白い根に掛けましょう RT @hitogatasky: この身から葉緑体が消えたってあなたのことをお慕いします
RT 水を吸い光にさえも遠慮する淡いみどりを愛しているの RT@hitogatasky: 優しいね季節外れの僕なのにどうして今日も水をくれるの

13.7.20
優しさであおじろくした頬で言う卒業しても友だちだよと"@migawarisky: 彼女らの押し付けがましい優しさの捨て場としてのわたしのからだ

13.6.18
空に似た青を掴んで刃を刺せば赤くまみれて濡れ羽根の色"@hitogatasky: したり顔するあの鳥が憎かったまずは翼を切り取ってやる
しあわせが見えているよと笑ってた青い鳥の目映してたのは"@hitogatasky:しあわせを連れてくるって嘘だった青い鳥なら昨日ころした

13.6.15
わたしだけ隠し抱きしめ言い放つ砂場に落ちた仙骨のいし"@hitogatasky: ほかの子は持ってないのよこの骨はわたしにしかない特別な骨

13.6.13
花の根に錆の色した水をやり遺伝子ふたつ混ぜてひとつに"@hitogatasky: あの花に死んでしまった恋人のDNAが埋まっているの
夏の日にとろり崩れたしかばねは土と馴染んで花に実になる"@hitogatasky: 腐る間も与えないまましかばねを溶かしてしまう夏の体温

13.6.7
からからと軽い音立て風車 空の屋台に買う人もなく

13.5.26
海のなかないてる夜を抱きしめて まどろみのひが来るまでねむる

13.5.23
言いながら伸ばしてくれた君の手に差し出した手はガラスに当たり RT @hoiru_utayomi 大丈夫、大丈夫とただ君は言う 私が水に沈んでもなお

13.5.8
めざめたら 音しかひびかぬ世界にいても しんぞうのおと きえやしなくて RT @ayameyame: めざめたら 歌しかひびかぬ世界にいたい すべてのものは おとで
パソコンにたましいだけを取り付けて 情報だけの自己になりたい

13.5.3
流れ来る星に負わせた願い事
どうかこの夜が続きますよう
RT @vol_008
星見でも行こうと誘う儚い子
どうか朝日に消えてくれるな

13.4.13
人を絶ち鏡に謳う杜鵑草 触れれば朽ちて枯れてしまうわ https://t.co/x3faHMarEW

13.4.1
爪先でこんと叩いた窓ガラス 部屋に満ちてた春がしぼんだ

13.3.27
モリーに僕のすべてを打ち込んだ おまえはいつかひとになるのか

13.3.24
雲達があがり待ってる七並べ揃いやせぬとわらうジョーカー RT @hitogatasky スペードとダイヤとクラブが青空にちらちらばって僕を見ている
指先にこごった赤ごと取り出して世界に撒いたハートの欠片 RT @hitogatasky 赤色が足りないからと心臓に突き刺す指のハッピーエンド
折れた羽ひとつ作者が拾い上げ赤いインキに浸して綴る RT @hitogatasky 書き変えた悲劇の中に散らばった羽は彼らに踏みつけられた
巣の中に風切り羽を捨てた朝意気揚々と枝を蹴りとぶ RT @hitogatasky 鳥籠を欲した鳩の結末を必死に隠し童話は終わる
空白をさびしいという名の箱に入れ蓋閉め中が見えてないふり 

13.3.23
一枚の紙切れと字とはんこうを抱きしめ笑うきみがまぶしい #jtanka
からからと笑い喋って泣く少女 くちをとめたらしんでしまうの

13.3.14
差し出したひと月前のお返事はリボンを付けたすかすかの愛

13.2.10
少しだけ硬めに作るチョコレート平熱高いあなた専用 RT @junju_usako 溶かされる為に固めるチョコレート貴方の口じゃなくちゃだめなの #cacao75

13.2.3
燃やしても きたいにならぬ 感情は 酸素を含み 重く重くて RT @dodoitsu_ フラスコに溶かした想いにふたをして 燃やし尽くすも はかりしれない

13.2.2
願わくば 花開く前 冬死なん 蕾を破く 一太刀の傷 #死に方短歌
願わくば ひとり溺れて 夜死なん 湯船に沈み 眠ったままで #死に方短歌

13.2.1
恋心やっと霞んできた頃に出てきちゃうから諦められぬ RT @peachsong_521 毎日じゃなくごくたまに夢にきみ出てきちゃうから忘れられない

13.1.26
まっくろの袋小路で悪足掻き眼球だけが前後左右に RT @hitogatasky 思い出に絡みつかれて動けない脳は逃げ場がなくて真夜中

13.1.23
真っ白なケーキに座るお姫さま 今ではただの赤い果物 #大人になってしまったと思う瞬間

13.1.22
幸せな二度と出られぬ夢の中どうかわたしがいませんように RT @hitogatasky もうきっと目覚めなくてもいいくらい幸せな夢みていてほしい

13.1.11
目も耳も 血も心臓も 脳みそも みんなあなたをおぼえているわ #人を食う話

13.1.9
罪の木の種を飲んだら心臓であかい根っこが伸びるのかしら

13.1.8
目をつむり頭を撫でる冷たさに 大丈夫だけ飲んで仕舞った

13.9.7
吊るされた墨字のベガとアルタイル二つ仲良く橋を渡れと RT @peachsong_521 短冊に殺して欲しい人の名を書いてください先着二名

12.9.3
切り口にソドムの塩を振りかけて齧る果実は血の味でした RT @hoiru_utayomi 僕達はアダムとイヴにもなれぬまま佇んでいる常識の園
波間から零れた青を吸い込んで珊瑚で暮らす魚が染まる RT @hitogatasky 散らばった光を指でかき集め海に流して青を深める
端然と少女を照らす海光は泡に食われてガラスに散った RT @hitogatasky 深さより青さを欲し瓶底に眠る少女に気泡が群れる
瓶のなか口を塞いで連れてきた深海はもう息をしてない RT @hitogatasky 深海を瓶に閉じ込め持って来たそれは果たして深海だろうか

12.8.13
流星に誓いを込めて指を組む ずっと愛していられますよう #star75

12.8.4
目を閉じて耳も塞いで背を向けてこんな自分じゃ夢も見れない

12.6.5
21. 弱り死にゆく情を看取って RT @hitogatasky 20. 嘔吐する言葉の脈をはかりつつ #renga1205