うたをよむなり。

ねずみです。あちこちで詠んでる詩歌のたぐいをまとめようとおもいました。

題詠みたんか'21.6月

題詠みサイトさんで詠んだ歌たち。

 

出会いから間違っていた取り皿に置いていかれたゴーヤとふたり
2021年06月29日『苦』

カチューシャとシーツの衣装マタハリのごと舞い躍るあどけない脚
2021年06月28日『舞』

五月雨の飛行機雲が英雄になれと言われた者らの墓標
2021年06月24日『飛』

みいちゃんねひよこだったの そうなのと言って連絡帳に書き込む
2021年06月23日『報』

コーヒーのアイデンティティを殺されたバニラキャラメルカフェラテと僕
2021年06月22日『バニラ』

真夜中のカフェオレ寝室の寝息スキムミルクでごまかしている
2021年06月21日『罪』

ラジオだけ響く夜半だ心臓の音がないこと隠して共寝
2021年06月19日『ラジオ』

生ぬるいビル風あびる一年中嵐の前ぶれみたいな街だ
2021年06月18日『ビル』

愛情と塩ひとつまみ入れたなら鬱憤込めて捏ねて叩いて
2021年06月17日『ハンバーグ』

一銭を見たこともない僕たちのドラえもんにも会えない世界
2021年06月16日『銭』

空席にちょこんと座るタンポポの綿毛をさらいコートに乗せる
2021年06月14日『拐』

鳥籠の開いた扉を見もせずに手からざくろを啄ばんでいる
2021年06月10日『自由詠』

おっくんおー、おっくんおーとなく稚児の語源に気づく土曜午後四時
2021年06月09日『ロックンロール』

雲ならばよかった君の理想にもなれず泣くなどなかったろうに
2021年06月08日『雲』

カーテンは開けたまま出るただいまを言えば西日が迎えてくれる
2021年06月07日『アパート』

折れそうと言いつつうさぎ抱く人が背中に添える手のやわらかさ
2021年06月06日『動物』

指切りは果たせずにいるちっぽけな骨を選んでつまむ鉄箸
2021年06月04日『切』

息を吸う裁定は出た夕暮れに最も映えるさよならの音
2021年06月03日『裁』

しとしとと濡れる紫陽花待ち人の来るまで愚痴につきあっている
2021年06月02日『紫陽花』

涙さえ覚えていない午前二時重なり合った唇の味
2021年06月01日『涙』